11.第32回定期演奏会(16.03.20)

東京FM2015 第32回定期演奏会プログラムより


一昨年の門前払いに懲りて本年もチケットを予約しました。これまで海外にばかり目を向けていた少年合唱団ファンの方々の間でも、TOKYO FM少年合唱団への関心が高まっているような気がしましたので、席がなくなると困るので少し早めに並びました。

関西からボーイソプランの館の館長先生、札幌からノースエンド先生も合流し3人で並びましたが、それほど混雑せず、割合いにいい席に座ることができました。(最前列の席には、団員の父兄や関係者でもなく、少年合唱ファンと思われる方々が陣取っていました。)

もう11回目になりますので、初めて鑑賞した頃のような高揚感はありませんでしたが、それでも、開演のチャイムが鳴り、団員たちが入場してきた時は感動します。今年は最初から写真のようなガウンを着たヨーロッパ風の服装でした。

■第1部 ぼくらのレパートリー

第1部は「ぼくらのレパートリー」として「おお牧場はみどり」、「COSMOS」、「BELIEVE」、「モーツァルトの子守歌」、「アヴェ・マリア」、「シーラカンスをとりにいこう」とバラエティに富んだ6曲が演奏されました。

「おお牧場はみどり」はもう何も言う事はありません。「COSMOS」は若いミュージシャンのミマスさんが作詞、作曲された曲ですが、合唱に加えて独唱(Soli)もあり、非常に爽やかな演奏でした。(中高生の合唱曲として人気があるのも判ります。)「BELIEVE」も定番中の定番。手話も交えたダイナミックな合唱はさすがです。

「モーツァルトの子守歌」、「アヴェ・マリア」も有名な曲で定番ですが、独唱(Soli)が本当に素晴らしい。普通は合唱団にエース級の子が1人、2人いるだけなのですが、TOKYO FMはその層が厚いのです。昨年、歌唱力の優れた団員が大量に卒業して、少し心配していたのですが、まったく杞憂でした。

最後は「シーラカンスをとりにいこう」。これは定番合唱曲である「怪獣のバラード」を彷彿させる曲ですが、私は初めて聴きました。少年らしいメロディが良かったです。

■第2部 小ミサ曲

第2部はフォーレ作曲の「キリエ エレイソン」、「サンクトゥス」、「ベネディクトゥス」、「アニュス デイ」の宗教曲4曲。実は宗教曲は今一つ判らない私ですが、それでも彼らの迫力は伝わってきます。最近はウィーンとかテルツなどの海外超一流少年合唱団の公演をご無沙汰していますので、比較することができないのが残念です。

ここでも印象に残ったのが独唱(ここはSoliではなくSolo)。一人で歌った団員の歌唱力、声量には本当に驚きました。日本人少年の場合は、声がきれいでも、か細い印象があったのですが、彼のパワフルさには脱帽です。

■第3部 "おぺら・オペラ・OPERA" Part5

さて本年度のメインプログラムは、これまでTOKYO FM少年合唱団の団員が出演したオペラ(歌劇)で演奏した曲を、オペラの舞台を再現しながらの合唱です。この企画は5回目ということで、Part5となっています。

さすがに日本の首都、東京ですので、毎年多くのオペラ公演があります。それぞれ日本を代表するような一流のメンバーやスタッフによる公演ですので、ボーイソプラノも高いレベルが要求され、TOKYO FM少年合唱団や、フレーベル少年合唱団のエース級の子が選ばれるようです。

ヨーロッパでウィーン少年合唱団やテルツ少年合唱団の子が選ばれるのと同じ構図です。日本でもそのような時代になったのですね。これまでは、本来はボーイソプラノのパートを当然のように女性や女の子が担当していたように思います。(夜など児童が出演できない時間帯であれば大人の女性が担当するのは海外でも同じ)

話が横道に逸れました。こんなふうにオペラに出演できるのは、オーディション等で選抜されたごく一部の子だけ。団員全員が出演できないのです。でも本日は全員がモチベーションを持って出演できるような素晴らしい演出になっていました。

「カルメン」第1幕 第2場
有名なビゼー作曲のカルメン序曲がエレクトーンが演奏される中で始まります。大勢の子供たちが衛兵の後を追いかけながら行進して歌う合唱は、非常に華やかでした。本当にオペラを観ている気分になりますので、最初の曲としては最適です。(ただこの曲は知りませんでした。カルメンで知っているのは、序曲、闘牛士の歌、ハバネラくらい)

「トスカ」第1幕
敵であるナポレオンの敗戦の報せを受けて、ローマの教会では司祭と少年聖歌隊が喜びながら登場。でもそれは誤報だった。最低限のストーリーなど知識がいるのがオペラ。この会場にいる方々には常識ですが、私は素養が足りません。曲などは判りませんが、でも楽しかったですよ。

「魔笛」第2幕 第16場
さすがに「魔笛」は知っています。映画にもなっていますし。3人の童子は貫禄十分です。昨年は宮本亜門氏演出の「魔笛」にTOKYO FM少年合唱団からOB含む5名(ダブルキャストで6名、1名は他合唱団。全員少年です)が出演し、そのレベルの高さに驚いたというblogも数多く見ました。この定期演奏会でもさすがですね。

「アマールと夜の訪問者」第1幕(全1幕)
「アマールと夜の訪問者」もTOKYO FM少年合唱団では定番。私はまだ行った事はありませんが、年末のクリスマスコンサートでは一番感動を受ける曲だとか。今回はアマールの母親役以外は全員、団員が演じました。アマール役の子は本当に凄い。母親役の女性歌手よりも声量があるのですから。昨年卒業した団員も凄かったのですが、次々に現れます。恐るべしTOKYO FMのパワー。
(作曲者メノッティが書いた楽譜には「アマールは必ずボーイソプラノを使うこと」という旨の注釈が自筆で書かれていたそうですが、日本だけでなく欧米でもアマール役は女性が大半というのが残念なところ)

「トゥーランドット」第1幕
プッチーニ作曲の本曲もフィギュアスケートでよくかかる曲という認識はありますが、オペラそのものの知識は殆どありません。今回は美女であるトゥーランドット姫に使える小坊主として少年たちが登場し素敵な合唱を披露してくれました。

オペラに登場するボーイソプラノは、誰でも知っている有名な曲ではなく、劇中でも地味なシーンが多いそうです(ボーイソプラノの館の館長先生談)。ですので、団員たちは素敵でしたけれど、今回の演奏会のフィナーレとしては少し寂しいかなというのが本音でした。

しかし最後にやってくれました。全員が舞台に登場。そして「トゥーランドット」で最も有名な「誰も寝てはならぬ」の大合唱です。テレビのCMや映画でも使われる、男声テノールの超有名なアリアです。これをボーイソプラノの合唱で聴けるとは。しかも、もの凄い声量です。鳥肌が立ちました。この1曲だけでも本日は大満足でした。

東京FM2015-2定期演奏会プログラムから、2015年クリスマスコンサート「アマールと夜の訪問者」
■さいごに

「誰も寝てはならぬ」の後は、定番の「気球に乗ってどこまでも」、「今日の日はさようなら」の2曲で舞台は終わりました。昨年に比べて6年生の人数は減りましたが、合唱のレベルは全く問題はありません。

今後は、本当に日本を代表する少年合唱団として、もっともっと色々な方々に聴いて欲しい演奏会だと思います。チケットが取れなくなるのは嫌ですけれど、1000人以上入るホールが満員になるような合唱団になって欲しいと切に願います。

余韻に浸りながら、ボーイソプラノの館の館長先生、ノースエンド先生のお二人と、浜松町で少し飲みながら食事をしてホテルへ。また一人で大井町の居酒屋へ行ってしまったのは余計でした。


▼FM TOKYO少年合唱団トップへ戻る   ▼サウスエンド音楽ホールトップへ戻る