1.第41回定期演奏会(03.11.02)

桃太郎・チケット 第41回定期公演会のチケット。(岡山シンフォニーホールにて)

11月始めの連休、実家のある大阪に帰省していましたが、岡山で合唱団の定期公演会がある事を知り、半ば衝動的に行く事にしました。この年3月にFM TOKYO少年合唱団を鑑賞して、2度目の日本の少年合唱団の鑑賞です。

岡山は大阪から新幹線で1時間足らず。14:00開演ですが、10:30には岡山に着いてしまいました。岡山シンフォニーホールの1Fにプレイガイドがあり、ここで無事に当日券を購入。「1枚だけですか?」と窓口のお姉さんに怪訝そう言われたのが、印象悪かったです。コンサートに1人で行くのは変ですか?

時間があるので、岡山シンフォニーホール近くの岡山県立美術館で美術鑑賞をしました。その時の特別展は「斉藤真一展」でした。これが素晴らしい!岡山出身の画家で、特に津軽の「ごぜ」と呼ばれる女芸人を描いた幻想的な絵に魅入られて、気がつくと、あっという間に1時間以上経っていました。(ここは合唱団の話なので、これくらいにしておきます。)

1時間前に岡山シンフォニーホールへ行き、また、最前列近くの右端の席に座りました。もちろん本当は真ん中がいいのですが、関係者でもないので隅っこにおりました。開演まではホワイエで、コーヒーを飲んでゆったり過ごしました。


やがて開演。桃太郎少年合唱団の団歌?のような歌からスタート。やっぱり凄いです。声量も、FM TOKYO少年合唱団以上にインパクトがありました。

第1部は「僕らの愛唱歌」と題して、鉄腕アトム、トトロ、怪獣のバラードなど、子供や素人にもわかる歌のパレードでした。

第2部は、友情出演として岡山少年少女合唱団が登場。少年少女合唱団とはいえ、女子が95%以上の事実上、少女合唱団です。嫌な予感がしました。ソプラノは、やはり女の子が得意であり、少女合唱団の方がずっと凄いんじゃないだろうか!

でも心配は杞憂でした。少女たちは控えめで、声量もインパクトも、桃太郎少年合唱団に全く及びません。これは彼女らの実力ではなく、マナーとして「ゲストがホストよりも目立つのは失礼」との事でホストを立てたのかもしれません。(この辺の流儀は、よくわかりませんけど)

とにかく少女達が降壇し、第3部は宗教曲。これは、日本の合唱団は必ずレパートリーに入れますけど、どうなんでしょう。日本の指導者の自己満足でなければいいのですが。宗教曲など音楽的に難易度の高い曲を、子供達に歌わせることが、指導者の腕の見せ所なんでしょうか。

もちろん素晴らしい歌声で、うっとりするのですが、こういう曲に造詣のない自分にとっては全てが子守唄で、半覚醒状態でした。

第4部は、日本の歌、合唱曲と題して、唱歌など聞きなれた歌ばかりで楽しく過ごせました。最後はゲストも含めて全員で合唱となり、終了。

また余韻に浸りたいところですが、新幹線の時間があるので、そそくさと岡山駅へ。桃太郎少年合唱団は、この後しばらく行けませんでした。(東京からは遠い)

昨年末、久し振りに定期演奏会を鑑賞しましたが、大変な状況になっていました。11、12、13歳といった年代の団員がゴソっと抜けており、小学校低学年と中高生が主力というイビツな年齢構成。でも歌声は変らず、素晴らしいと思いました。

ただ、ヒゲも生えていそうな高校生が、ソプラノに大勢いるのに仰天し、ここで初めて少年合唱団の老舗サイト「ボーイソプラノの館」の掲示板に書込みをしたのでした。

06年の定期公演会のレポートは、また後日にUPします。
なんだかんだありますが、桃太郎少年合唱団の皆さん、これからも頑張れ!

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2.第42回定期公演会(04.11.28)

桃太郎・チケット 第42回定期演奏会チケット(04年)

前年に引続き、また岡山シンフォニーホールで演奏を聴きました。2回目なので迷うことなく、1時間前には入場して席を確保して、ホワイエでコーヒーを飲んでゆっくりしました。

第1部は「僕らの愛唱歌」で始まりました。「離陸準備完了」、「カリブ夢の旅」、「少年の日はいま」、「ゆかいに歩けば」、「マイバラード」、「歌よありがとう」、「翼を抱いて」の7曲です。

非常に声量も大きく迫力ある合唱でした。ただ愛唱歌とはいえ、素人の自分には知らない曲が多かったので、少し退屈の感もありました。もう少しポピュラーな唱歌なども選曲してくれると、入り易かったのではと思います。

第2部は賛助出演の「コール・ゆうぶんげん」という男女混声合唱団のコンサートでした。残念ながら、その内容はよく覚えていません。まだ7曲しか歌ってないのに、ゲストが出てくるには少し早すぎるのでは、と思ったことだけは覚えています。

第3部は宗教曲と題して「アヴェ・マリア」他3曲の計4曲でした。先ほどの「コールゆうぶんげん」に岡山トロンボーン協会の金管楽器も加わり、かなり荘厳なミサの雰囲気が味わえる熱唱でした。しかしキリスト教徒でない自分にとって宗教曲は「ヒーリングタイム」で、意識を保つのに精一杯の罰当り野郎でした。

第4部は少年少女、女声のための合唱組曲「あしたの灯」で、5曲が演奏されました。宗教曲から尾を引いて夢と現実の間を彷徨いながらも、素晴らしい合唱が堪能できました。

最後はOBも加わっての「ハレルヤコーラス」とお別れの歌で終了。意外にあっけなく終了したような印象です。少年合唱として実力があるのでしょう。それで指導者の方は、レベルの高い歌に挑戦させているという意気込みは非常によく伝わりました。

でも失礼とは思いますが、正直に言えば、あまり楽しくなかったのです。もう少しポピュラーな選曲を入れるとか、ミニ歌劇を入れるとか、歌謡曲やロックでも入れるとか、観客をリピーターにさせるような企画は無理なんでしょうか。

楽しい舞台であれば、少年合唱団員の減少を食い止めるきっかけになるような気もするのですが。素人の浅知恵かもしれません。申し訳ありません。

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3.第44回定期公演会(06.12.10)

桃太郎06 第44回定期演奏会チケット(06年)

2年ぶりの岡山でした。もう慣れたもので、少し早めに着いて美術館めぐりをした後、会場の岡山シンフォニーホールへは時間を見計らい、殆ど待つことなく入場できました。これまでの2回より観衆が少ない感じなのが気になりました。

第1部は「僕らの愛唱歌・クリスマスソング」というテーマで、団歌から始まり、「夢の世界を」、「歌よありがとう」、「翼を抱いて」、「山ねこバンガロウ」、「きよしこの夜」、「アデステ フィデレス」、「もろびとこぞりて」、「グローリア」の9曲が一気に合唱されました。

初めて聴く歌もありましたが、ポピュラーソング中心に、入りやすい選曲で良かったと思います。ただ、歌を聴いて少し違和感も残りました。この違和感がどこから来るのか、この時点では納得できませんでした。

第2部は「こんにちは モーツァルト」と題してモーツァルト関連の8曲です(ピアノも含め)。アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、「春へのあこがれ」、「そり遊び」、「おかあさん聞いてちょうだい(曲はお馴染みの「キラキラ星」)」など、聴いた事のあるフレーズの曲が印象に残りました。ただ、モーツァルトのような大作曲家なのに、あまり知らない自分の教養の無さ・・反省です。

休憩をはさんで第3部は「MASS No.6」という4曲です。申し訳ありませんが、全く印象が残っていません。難しい曲に挑戦される姿勢は素晴らしいのですが、聴く方のレベルが着いていかない感じです。

そして、最後はOBも含めて、「アヴェヴェルム コルプス」、「ハレルヤコーラス」の2曲。さすがに最後のハレルヤコーラスは圧巻で迫力がありました。桃太郎少年合唱団の最後は、ハレルヤコーラスが定番になったようです。

最初に感じた違和感は、団員の年齢構成が原因でした。プログラムに記載されている団員名簿を見ると、高校生、中学2、3年生が非常に多いんです。しかもパートはソプラノの人もかなり・・もうヒゲも生えたような青年が裏声(ファルセット)で高音部を担当されている訳です。
でもプログラムの写真は皆幼くて可愛いんですよ。どうやら小学生時代に撮影した写真をそのまま流用しているようです。これで最初は気付きませんでした。

小学6年生は3名くらい、低学年や幼稚園の子供達はかなり大勢います。極言すれば、青年と幼児の合唱団というバランスでしたので、少し違和感が残った訳です。でも!低学年の子供達、しっかりと楽しそうに歌っていました。このまま止めずに合唱団に残ってくれれば、2、3年後には素晴らしい合唱団になる予感もします。

と、いう事で、08年の今年はまた、岡山に行ってみましょうか。

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4.第47回定期公演会(09.11.22)

桃太郎09 第47回定期演奏会のチラシより


桃太郎少年合唱団は実に3年ぶりでした。

新幹線を使えば、岡山は1時間もかかりません。ゆっくり出発しても11時には岡山へ到着。路面電車で城下。まずは岡山市立オリエント美術館、次に岡山県立美術館と、美術館めぐりです。

今年は特に印象に残る作品はありませんでしたが、ひっそりと静かな美術館のフロアを歩くだけでも癒されます。

そうこうしているうちに雨が降ってきました。あわてて近くのラーメン店で昼食をとり、今日の散歩は中断して、早々に岡山シンフォニーホールへ駆込みました。

広島に続き、ここでも「ボーイソプラノの館」館長の吉岡様とお会いし、やはり隣の席で鑑賞させて頂きました。3年ぶりなんですが、3年前に少年だった団員の多くが、そのまま高校生の顔になって残っています。ファルセット(裏声)とはいえ、ソプラノボイスのままで・・


第1部は「僕らの愛唱歌」として「夢の世界を」、「ふるさと」、「マイバラード」など7曲。知らない曲もありましたが、うまく入り込むことができました。

第2部は「NHK全国学校音楽コンクール課題曲集」と題して、年代順に課題曲が8曲演奏されました。「花のまわりで」、「気球にのってどこまでも」など、古い曲の方が懐かしさもあり、頭に入ってきます。

休憩をはさんで第3部は宗教曲が3曲。そして本日のハイライトは第4部の「アカペラ・アンサンブル」でした。団員のうち、高校生などシニアのメンバーを中心に、無伴奏で3曲を演奏。オッサン顔(失礼!)のメンバーもいますが、全員美しいソプラノとアルトです。

指揮者がいないので、1人の高校生がリードして合唱していますが、このリーダーが本当に素晴らしい感じの少年です。彼のような高校生が日本に大勢いたら、きっと日本は素晴らしい国になるのでは・・なんて思いました。

そして最後は全員で2曲を合唱して終了です。最後に挨拶に立たれた団長先生の話で、印象に残っているのは2点。1つは、栃木少年合唱団の解散の件、もう1つは、桃太郎少年合唱団も高齢少年合唱団になってしまったと自嘲的に言われたこと。何とか伝統の灯を保って欲しいものです。

さて本日は、このまま岡山に宿泊し、明日は小倉へ移動して北九州少年合唱隊の定期演奏会をハシゴする予定です。吉岡様も小倉へ行かれるとの事で、またホールでお会いする事を約束して別れました。

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5.第48回定期公演会(10.11.21)

桃太郎10 第48回定期演奏会のチラシより


秋のコンサートシーズン、広島に続く2番バッターは桃太郎少年合唱団です。

秋晴れの素晴らしいお天気でした。朝のうちこそ肌寒さもありましたが、寒くも暑くもない本当に快適な気温。新幹線で岡山へ。

コンサートとはいえ室内にいるのが勿体無い。歩きたい気分ですが、ここは路面電車に乗りました。


路面電車岡山駅 路面電車の岡山駅(電車は来ていませんが)


鉄道ファン(鉄ちゃん)ではありませんが、路面電車は大好きです。城下という電停で下車。100円、大阪のPITAPAが使えます。

コンサート開演まで美術館めぐりです。オリエント美術館は残念ながら閉館中。岡山県立美術館をざっと走り見した後、林原美術館へ。この辺りは素晴らしい雰囲気。アートな街ですね。

ちょっとお洒落な中華料理店で昼食をとり、岡山シンフォニーホールへ。開演30分前に会場入り。いつものポジションに、「ボーイソプラノの館」館長の吉岡様を見つけ、お隣に座らせて戴きました。
(昼食に餃子を食べたので、口臭を消すためにコーヒーでごまかしました。吉岡様、失礼しました。)

桃太郎10会場前の立看板


14:00、いよいよ開演です。第1部は僕らの愛唱歌と題して、団歌、夢の世界を、さんぽ、希望の岡山、ふるさと、チョウチョウ、備前太鼓唄の6曲です。

相変わらす、高校生、中学生が中心で、ファルセット(裏声)でソプラノ、アルトを出していますが、テクニックが円熟してきたのでしょうか、違和感がありません。本当のボーイソプラノに聞こえます。

ただ、声量が必要になるフォルテになると、多少裏声特有の嫌らしさ(すみません)が出ますが、気になる程ではありません。高校3年生が6名もいて、ずっとこの合唱団をリードしてきたのですから、テクニックはプロ級です。この6名も今年で卒業とのこと、本当にお疲れ様でした。


第2部は「はるがきた」と題して、2人のリコーダー奏者と合唱のアンサンブル。短い合唱が11曲。曲の切れ目がやや判り難い感じがしましたが、本当に素晴らしい合唱でした。かなり前衛音楽の要素が強い曲もあり、小学生だけの合唱団では、演奏しきれなかったかもしれません。でもさすが中高生、安心して聞いておれました。

ここで休憩をはさみ、第3部は「ミュージカルナンバーより」と題して、The Sound of Music、ピーターパン、Catsから、それぞれ1曲を演奏。OBの四宮貴久さん(現役プロのミュージカル歌手)による指導と、自ら出演して素晴らしい美声を聞かせてくれました。プロなのに、出るタイミングを間違えたのはご愛嬌。

桃太郎少年合唱団では、ミュージカルは初めての試みとのこと。先月みた広島少年合唱隊に比べると、確かにノリが弱いというか、慣れていない感じがしました。特に低学年の団員達は、ステップや動きについていくのが精一杯。隣の子の足の動きを目で追っている子も目立ちました。

元々この合唱団は動きの少ないタイプ。正調昭和演歌(東海林太郎さん?さすがに知りませんが)のような感じだっただけに、このイメージチェンジは暫くかかるかもしれません。でも新しい方向へチャレンジするのは素晴らしい事だと思います。来年も楽しみ。

第4部は「アカペラ アンサンブル」と題して、「Ave Maria」など宗教曲を5曲。これは昨年と同じ。昨年は高校生のリーダー君の初々しい様子が印象に残ったのですが、今年はちょっと、あっさり終了。最後にリーダー君の挨拶くらいあれば、よかったのですが。

第5部は「少年合唱による宗教曲」と題して、7曲を合唱。音楽的には素晴らしい合唱ですが、第4部から連続して10曲以上も宗教曲が続きますので、観衆の中には飽きてきたような空気も漂います。来年は、プログラム構成や順番に少し工夫がいるかもしれません。

最後、第6部は「OBとともに」と題して、「遠い日の唄」、「大地讃頌」の2曲。この大地讃頌は少年少女合唱でもよく演奏される定番曲のようです。最後にいつものお別れの曲で終了でした。ミュージカルがあった分、例年より長い時間でしたが、大満足でした。

<おまけ>気になった団員
この少年合唱団は前述しましたように、みんな大人しくて優等生イメージ、逆に言えば元気がない感じでした。その中で1人だけ。中学1年生の団員ですが、動きや振りが大きく、それに合せて顔の表情も豊かな団員がいました。すごく楽しそうに見えて、見ているこちらも嬉しくなってきます。

来年は中学2年生なので、もう恥ずかしいお年頃になってしまうのかもしれませんが、こんな団員がリーダーになって引っ張って行って欲しいものです。

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6.第49回定期公演会(11.12.18)

桃太郎11 第49回定期演奏会プログラムより


桃太郎も3年連続での鑑賞となりました。今年の定期演奏会は少し遅く、年末近くになり、街にはクリスマスのイルミネーションが輝いています。

この日は素晴らしい晴天でしたが、さすが晴れの国岡山といえども底冷えのする寒さ。昼前に岡山到着。オリエント美術館、岡山県立美術館をさっと鑑賞。

年末なので企画展はもう終了して常設展のみ。やや寂しいミュージアムですが、これもまた旅情があってOK。

軽く昼食をとった後、岡山シンフォニーホールへ。


本日は「ボーイソプラノの館」の吉岡様もお見えになっておらず、一人で鑑賞です。最前列の席を陣取りました。心なしか例年よりも観衆は少ない様子です。せっかくのコンサートなのにもったいない。

いよいよ開演。団歌に続き、第1部は僕らの愛唱歌と題して「希望の岡山」、「ビリーブ」、「ふるさと」、「そうらん節」、「歌よありがとう」、「ひろい世界へ」の6曲。前回の呉少年合唱団もそうだったのですが、どうも団歌に元気がありません。なんとなく恥ずかしそうなんです。

開演1曲目なので声が出ないのかもしれませんが、1曲目の印象は後を引きますので、もう少し元気があってもよかったかもしれません。TOKYO FM少年合唱団のオープニング「おお牧場はみどり」はパンチ力十分で、いつも初っ端からやられてしまいます。東京に比べると、ずっとホールが広いので声が響かないだけかもしれませんが。

それでも次第にエンジンがかかってきました。メンバーを見ると嬉しいことにずいぶん若返っています。特筆すべき点は低学年の団員たちのマナーと落ち着き。彼らもしっかりした合唱と態度で、途中で下げられることなく最後まで一緒に歌えたのは素晴らしいと思います。(他の合唱団では低学年団員は一部だけ参加。レベルの高い曲になると下げられることが多いのですが)

全体的にやさしくソフトに歌い上げるタイプの合唱のように思います。それが如実に出たのが「そうらん節」。広島少年合唱隊の演奏とは対極的な印象でした。どちらがいいとかは、それぞれ人の好みの問題ですが、私はどちらも好きです。(無難な言い方ですが・・)

第2部は合唱組曲「あらしのよるに」から5曲。これが本日のメインでした。そして合唱の出来も素晴らしい!の一言につきます。これまで私が聴いた桃太郎少年合唱団のベストと言っていいでしょう。本当に感動しました。

アニメ映画にもなった絵本「あらしのよるに」を合唱組曲にしたものですが、団員達による朗読と合唱のコンビネーション。山羊と狼が嵐の夜に友情を交わす。弱者と強者という立場を超えて。単純なストーリーですが、涙腺の弱い私は思わず涙するところでした。特に山羊のセリフを朗読した低学年団員にやられました。もう!声優になれますよ。

欲を言えば、日本語の歌詞なのに歌詞が聞き取りにくいこと。これは作曲の問題でしょう。音楽性を優先したために歌詞が不明瞭にならざるを得なかったのかも。もちろんそれを見越してプログラムの中に解説文を4ページも入れてくれておりましたので、私は特に問題ありませんでした。ただ小さい子供たちはどうでしょう。


休憩をはさんで第3部はアカペラ・アンサンブルと題して2曲。上級生団員による、このコーナーも恒例になりました。宗教曲ですが短めにあっさりと終了。

続いて第4部は宗教曲とハンガリー民謡と題して4曲。昨年はアカペラから連続して10曲以上も宗教曲が続いたため、会場内には寝る人や飽きてザワつく人もいたのですが、本年はそれに対応したのでしょうか、短めになりました。「あらしの夜に」の余韻が残っているので、退屈することなく聴けました。もっと聴きたいくらいです。

最後の第5部はOBとともにと題して「大地讃頌」と「ハレルヤコーラス」。これも定番になりました。今年はOBの男声の頑張りが耳につきました。ソプラノパートはややお疲れかも。終了後、棚田団長先生のご挨拶。いつも味わいがあるお話です。そしてサプライズですが、会場全員で「ふるさと」の合唱、オールラストはお別れの曲。

桃太郎11終演後、ロビーで見送ってくれる団員


確かに、ここ数年で桃太郎少年合唱団は変化してきたように思います。直立不動・静のイメージから、ダイナミックなイメージへ。

昨年、特に注目した表情や身振りの豊かな中1の団員。今年は中2になっても、まだしっかり目立っていました。本当に嬉しいことです。

桃太郎11


昨年のミュージカル。今年の朗読と合唱。そして終演後にロビーで観客へのお見送り。これまでそんなこと全くしていなかったように思いますが、観客としての満足度は大幅アップ間違いなし。

来年は50回記念とのこと。これは本当に楽しみです。来年は広い岡山シンフォニーホールが満員になるような企画をして欲しいもの。(プレッシャーをかけて申し訳ありません)


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7.第50回定期公演会(12.11.23)

桃太郎12 団員募集のチラシから


桃太郎少年合唱団創立50周年の記念定期演奏会。
この日は呉少年合唱団の定期演奏会と重なり、どちらも行きたいので本当に困りました。でもやっぱり50周年記念ですので。
ノースエンド先生を通して、ある方から呉少年合唱団定期演奏会の招待券を戴きました。本当に有難うございました。本年は御好意に応えられず、心からお詫び申し上げます。来年はまた呉を楽しみにします。

さて新幹線。この日は3連休の初日とあって指定席が全く取れません。昼前の列車にようやく空席があり、岡山に到着したのは12:30近く。急いで近くのカレーショップで昼食を取り、曇天の中を岡山シンフォニーホールへ。(ボーイソプラノの館の吉岡様、遅れてしまい申し訳ございませんでした。)

桃太郎1250周年の豪華冊子


という訳で、今回の岡山では、駅からシンフォニーホールまでを散歩しただけで、好きな美術館めぐりも、観光も全くできませんでした。岡山は近いので、また天気のいい日にでもゆっくり観光します。

いよいよ開演。50周年記念ではありますが、観客数は昨年よりは多い気がするものの、やや寂しい感じです。ロビーで50周年を記念して、これまでの合唱団の歩みを綴った豪華な冊子が販売されており、迷わず購入。3000円でしたが、記念のCDもオマケにいただき大満足です。

さあ、期待に胸を躍らせて、コンサートの始まりです。

■第1部 (前半)愛唱歌

この第1部は休憩なしで1時間20分の演奏が続きますので、前半と後半に分けてレビューします。
まずは4曲。「団歌」、「希望の岡山」、「ゆかいに歩けば」、「花のまわりで」

最初は、おなじみの団歌ですが、少し声量が足りません。そのうちエンジンがかかってくるだろうと思っていたのですが、2曲目、3曲目も同じ調子。ここ岡山シンフォニーホールは本格的なコンサートホールのため、かなり広いので音が響かないのかなあ。

でも9年前、初めてここで聴いた桃太郎は、そのボリュウムに圧倒されたのですが・・とはいえ合唱は大変安定しており、柔らかでソフトなハーモニーを聞かせてくれました。続いて次の3曲。「黄金ふく」、「ひろい世界へ」、「今、始まる」

それぞれ合唱組曲の中の1曲ですが、合唱のテクニックは素晴らしいとに思いました。でもソプラノパートがやや弱く感じましたので、もう少しパンチが欲しいように思います。こう感じた理由は後で判りました。

■第1部 (後半)ソリストと50年のあゆみ

後半は、音楽界の第1線で活躍されている桃太郎少年合唱団のOBを迎えて、少年合唱団と一緒に素晴らしい演奏を披露してくれました。

ホルン奏者・宮武良平氏と「美しく青きドナウ」
宮武氏は東京藝大、新日本フィルとエリートコースを歩まれた方。ウィーン少年合唱団でもお馴染みの曲ですが、そつなく合唱されていたと思います。

尺八奏者・田辺頌山氏と「そうらん節・追分」
尺八の生演奏を聴いたのは生まれて初めて。しかもすぐ目の前で。オーケストラに比べると日本古来の楽器なんてショボイと罰当たりな事を思っていましたが、打ちのめされました。尺八の音色に。こんなに素晴らしい音楽が日本にあったのか。それと少年達の「そーらん節」も、このコンサートで初めてパワーを感じました。本日のベストかも。

テノール歌手・柾木和敬氏と「フニクリ・フニクラ」、「サンタ・ルチア」
柾木氏はイタリアでも活躍されていたオペラ歌手との事で、その風貌や体型は典型的なオペラ歌手。顔の彫りも深く、女たらし(失礼)が似合いそうです。そして、その素晴らしい声量に会場もシーン。サンタルチアの最後には、立ちあがって「ブラボーッ」と叫びたいくらいでした。実際に叫んでいる人も。

サクソフォン奏者・西本淳氏と「里の秋」、「カノン」
西本氏は合唱無しの独奏でした。静かなサクソフォンの音色が心に染み入ります。しっとりと、なにか幸せな気分に包まれた時間でした。

テノール歌手・大滝賢一郎氏と「だれも寝てはならぬ」
柾木氏がクラシックなら、大滝氏はポピュラー系のテノール歌手でしょうか。ルックスもアイドル系。今やフィギュアスケート?で有名なオペラ「トゥーランドット」のナンバー。マイクを使っての歌唱ですが、少年達のバックコーラスが素晴らしく、男性だけでオペラを上演できるんだなあ、なんて感慨にふけりました。

バリトン歌手・四宮貴久氏と「スキンブルシャンクス・鉄道猫」
四宮氏は2年前にも出演されており聴くのは2回目。ミュージカル「CATS」のナンバーを本当に楽しく、舞台中を駆け回っての熱演でした。少年達も楽しそう。これも良かった。

■第2部 上級生団員によるアカペラ・アンサンブル

「故郷」、「おんがく」、「前へ」の3曲。
長い1部が終り、10分だけ休憩の後、恒例の上級生によるアカペラの合唱です。高校生と中学生だけのアンサンブルですが、全て裏声によるソプラノでの合唱。裏声といえば、ある種の気色悪さ(失礼)を感じるものですが、訓練を積んだ彼らの声には気色悪さは全くありません。すごく優しいハーモニーなのです。

そこでハタ!と気づきました。変声後の上級生だけの合唱なのに、本日これまで聴いてきた桃太郎少年合唱団全体の声と同じなのです。そうか、桃太郎少年合唱団はボーイソプラノでなく、裏声ソプラノが主体だったのか。

裏声では、ソフトなアンサンブルは絶品ですが、ピーンと糸を張ったような、闇を切り裂くような、シャープなボーイソプラノは無理な気がします。小学生団員もそこそこいますので、彼らの声をもう少し活かしてくれればいいのですが。上級生を使えば安定感は抜群ですけれども。

■第3部 ラターとモーツァルト

引き続き上級生団員にOB、女性ソプラノ歌手、バイオリンやチェロなどの楽器(岡山ジュニアオーケストラ団員)も加わり、ラター4曲、モーツァルト1曲の演奏です。舞台の上が一転して賑やかになりました。少年合唱の音色がやや霞んでしまった感もありますが、これはこれで良かったと思います。

■第4部 OB、公募メンバーとの合同演奏

「ゆめの形」、「ゆめの行方」、「ハレルヤ」の3曲。
最後の舞台はOBの方に加え、今回のために公募された地元のコーラスグループが参加され、舞台は超満員になりましたが、皆さん楽しそうでした。地元のコーラスの方々は、ほぼ全員白髪の方ばかり。まあ現役世代の方々は仕事が忙しくてコーラスなんて出来ないでしょうから。

最初の2曲は、この桃太郎少年合唱団50周年を記念して委嘱された曲で、本日が初演との事。すえ永く、いろいろな方々に歌い継がれていくことを祈っています。指揮者は団長の棚田先生。最後のハレルヤも素晴らしい合唱でした。

桃太郎12演奏会終了後。ほっとする団員たち
■さいごに

50周年記念の定期演奏会も無事に終了しました。今回はゲストのOBの方々の独奏が圧巻でした。少年団員達の中からも先輩に負けない音楽家が出てくれることを期待しています。

昨年は音楽劇などもあり、桃太郎少年合唱団もエンターテイメント的な方向へ舵を切ったのかと思いましたが、本年は記念演奏会でもあり、オーソドックスなものに戻った感もあります。

他の少年合唱団に比べると、団員1人1人の顔がよく見えません。MC(master of ceremony)を団員が担当することはなく、表情も固い団員が多いように思います。もちろんそれが桃太郎の個性ですので、これでいいのだとも思います。

ただその中で今年も目立ちました。もう中学3年生の団員ですが、ひとり表情豊かで、大きなフリをつけて楽しく歌っている少年。彼のようなリーダーが団を引っ張っているのでしょうか。

桃太郎12ロビーでお見送り

また彼の隣に、足が悪いのか、体調を崩しているのか、椅子に座って合唱している団員がいて、その彼をかばっている様子も立派に見えました。
椅子に座っていた団員、最後に高齢の棚田先生が指揮に立った時、彼も立ち上がりました。意地なのでしょうか。これも印象に残りました。頑張れ!

少しレビューが長くなってしまいました。いろいろと書きましたが、50周年記念演奏会は本当に大満足でした。


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8.第51回定期公演会(13.12.15)

桃太郎13会場前の立看板


少年合唱団のコンサート鑑賞、2013年の最後は桃太郎少年合唱団。昨年は第50回の記念演奏会で、聴く方も少し力が入っていたのですが、今年はリラックスして行きました。

前日の土曜日は、岡山から海を渡って向いにある香川県の高松市で一泊。ここは私の父親の故郷。少し早いのですが、お墓の掃除をして年末のお参り。そして当日の昼前に岡山入り。岡山市立オリエント美術館に寄ってから、会場の岡山シンフォニーホールへ。

今回は「ボーイソプラノの館」の吉岡様は都合で来られず、一人だけかと思っていましたら、同サイトの論客である道楽様がおられ、少しご挨拶して、いよいよ会場へ。

舞台の真ん中にピアノ様が鎮座されておりましたので、正面の席は、団員が影になりますので、最前列の右側に着席しました。ここからは、団員の表情がよく見えます。


T 僕らの愛唱歌

そしていよいよ開演です。団歌から始まり次の6曲が演奏されました。

「団歌」、「COSMOS」
さすがに何回も桃太郎へ来ているだけに、団歌のメロディは覚えてしまいました。2曲目のCOSMOSはあまり馴染みのない曲。どこかで聴いたかもしれませんが、年のせいか覚えが悪くなっていて、すみません。

「ひろい世界へ」、「マイバラード」
この2曲は本当にポピュラーな曲です。特に「ひろい世界へ」は、桃太郎の持ち歌のように、よく歌い込まれているのでしょうか、非常に丁寧な合唱でした。余談ですが、ポピュラーな2曲とはいえ、少年合唱を聴くようになったから知っているだけで、私の世代の友人に聞いても「なにそれ?」と言われる始末。(カラオケへ行った時に入れようとして・・歌うの断念)

「ふるさと」、「花は咲く」
この2曲は、今年の広島少年合唱隊定期演奏会でも演奏されました。「ふるさと」は唱歌ではなく、NHK学校音楽コンクール小学生の部課題曲。東北震災復興の「花は咲く」と合わせて、時節的には無難な選曲だとは思います。できれば、もう一捻りした選曲があればなあ、なんて欲張りな気分もありましたけれど。

今年も、ここ数年の桃太郎少年合唱団と同じ、非常にソフトな合唱という印象でした。最前列にいましたので、ボリュウム的には問題ありませんが、この広い会場の後方だと、少し頼りない声量だったかもしれません。また最前列のため、誰がよく声を出しているか、丸わかり!でした。ソプラノパートをリードしているのは、最上級生の高校生。

桃太郎13プログラム表紙より(色を編集しています)
U 桃太郎 presents Christmas songs!

この第2部が本日の演奏会のメインイベントでした。季節的にクリスマスですし、この7曲の合唱は、素直に楽しむことができました。

「もろびとこぞりて」、「荒野の果てに」
誰でも知っているメロディ。でも両曲とも賛美歌ですから、少し敬虔な歌い方で、静かな合唱は雰囲気抜群でした。

「ジングルベル」、「赤鼻のトナカイ」、「あわてんぼうのサンタクロース」この3曲は賛美歌から打って変ってコミカルで楽しい雰囲気に。そして合唱も、ようやく小学生団員の声が元気よくなってきて、力強さが加わってきました。サンタクロースに扮した合唱団の理事の方も、客席まで下りて大熱演、ご苦労さまです。

「White Christmas」、「O Holy Night」
そして最後の2曲は英語系で。この2曲も小学生団員が元気で、声もよく聞こえました。特にソプラノパートでは、小学6年生のある団員の声がよく響きました。あえて独唱部分を入れたのか、それとも、単にこの少年団員がハーモニーを外したのでしょうか。でも、おかげで非常に楽しい合唱になりました。

V 宗教曲

休憩をはさみ、第3部は宗教曲。聖アンを称えるための小ミサ曲と題して2曲が演奏されました。桃太郎少年合唱団は、宗教曲に力を入れているようで、定期演奏会では必ず何曲か演奏されます。

できれば、その宗教曲の持つ意味などを少し解説してくれれば、聴衆にとっても入りやすいのではと思います。プログラムには2曲の題名が掲載されていますが、実際には何曲ものパートに分かれており、いつ終るのか、いつ拍手していいのか、戸惑う方々が多い感じでした。(私もその一人)

2曲目は、OB団員も参加して混声合唱。OBが加わることで迫力は十分。でもクリスマスソングでは元気だった小学生団員は、詩やメロディが難しいのでしょうか、やや大人しくなったかもしれません。

W 上級生団員によるアカペラアンサンブル

毎年恒例のコーナーで、ファルセット(裏声)を駆使した上級生団員の熱演に、毎年驚かされてきました。しかし今年は全部で5曲も。

「Dona Nobis Pacem」、「夢見たものは」、「夕やけこやけ」、「赤とんぼ」、「あなたはどこに」
今年のリーダーは、ソプラノパートで1番声を出していた高校生。さすがに上級生ですので、合唱のテクニックは素晴らしいの一語に尽きます。特に今年は裏声によるソプラノやアルトだけでなく、やや高めのテノールも加わり、合唱に厚みを感じました。無理したソプラノではなく、年齢相応のテノールの方が、やはり自然に聞こえます。

しかしこのコーナーは、例年ですとおまけ(すみません)のような位置づけだと思っていたのですが、本年は5曲も演奏されたということは、メインになってしまったのでしょうか。本来のボーイソプラノである少年団員だけでは、プログラムが持たなくなってしまったとしたら、少し寂しい気もします。とはいえ、上級生団員のアカペラは本当に素晴らしい。熱演を有難うございました。

桃太郎13プログラムより、本年の演奏の思い出(2013.3.28)
X OBと共に

いよいよラストの部は、OB団員等も全員参加しての合唱「あしたの灯」より「今、始まる」。例年のラストは「ハレルヤ」だったのですが、本年は急遽変更があったようなアナウンスがありました。

あまり耳慣れない曲でしたが、合唱の迫力は「ハレルヤ」にも劣らない素晴らしいものでした。


おわりに

今年の演奏会で気になったことが1つ。少年団員たちが、楽譜を手に持って見ながらの合唱が多かったこと。定期演奏会なのですから。日頃練習した成果をみせてくれるのですから。やっぱり歌詞くらいは覚えるほど歌い込んで欲しい。すみません。少し厳しいコメントになってしまいました。でも、合唱リーダーの高校生は、ひとり楽譜なんか持たずに歌っていました。これはさすがです。

勝手な注文をつけてしまいましたが、それでも、本年もいい演奏会でした。最後に、50年勤められて本年引退された元団長の先生の挨拶がありましたが、いろいろと感じるものがありました。本当にこれからも50年、100年と続いて欲しいものです。

桃太郎13終演後、ロビーにてお見送り


今は、中高生の上級団員に引っ張られている部分が多いように思いますが、クリスマスソングの部では、小学生団員の実力も感じることが出来ました。

毎年、多くの新しい団員が入って、昔のように活発な少年合唱団の時代が来ることが、なんとなく期待できるような希望も感じました。

それを信じて来年も、是非来ようと思います。


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9.第52回定期公演会(14.12.23)

桃太郎1プログラム表紙から


桃太郎少年合唱団も毎年団員が少なくなり、特に小学校高学年団員がおらず、中高生のファルセット(裏声)合唱団状態ですので、もう行くのは止そうかと思いながらも6年連続で9回目の鑑賞となりました。

今年は久し振りに、ホームページ「ボーイソプラノの館」の館長先生も鑑賞されるとの事でご一緒しました。立派な岡山シンフォニーホールですが、年々観客席は寂しくなります。(最初の頃は、いい席に座ろうと開場30分以上前から並んでいたのですが、今では途中から入っても好きな席に座れます)

いよいよ開演。団員が入場してきました。最初の曲は、桃太郎少年合唱団「団歌」ですが、例によって、パワー全開とはいかず、どこか恥ずかしそうに歌っているように聞こえます。最初の曲なので、これはどこの合唱団でも同じですし、仕方ありません。(例外はTOKYO FMと北九州。彼らは最初からフルパワー)

T.僕らの愛唱歌

第1部は「赤いやねの家」、「夕日が背中を押してくる」、「地球のうた」、「冬のメドレー/おおさむこさむ、たきび、雪、冬の夜、冬景色、スキーの歌、ペチカ、雪の降るまちを」の4曲(メドレー含む)

最初の3曲は愛唱歌といいながらも、あまり耳にした事がない曲ですので、やや入り込みにくいのですが、素直で繊細な合唱でした。4曲目は唱歌で、これは素晴らしい合唱です。

でも結果的に、今年の定期演奏会の合唱らしい合唱は、たったこれだけで終り。もう少しポピュラーソングなどもサービスしてくれてもいいのにと思うのですが。(山口百恵さんの「秋桜」なんかを、少年合唱で聴くと、ホロリとしてしまいそうなんですが)

U.倉敷少年少女合唱団によるステージ

第2部は、ゲストである倉敷少年少女合唱団により、「新しい歌を主に向かって歌え(詩編第95番)」、「ヴォカリーズ」、「(ミュージカル)キャッツよりメドレー」、「銀河鉄道999」の5曲(メドレー含む)です。

まだ桃太郎少年合唱団が4曲しか歌っていないのに、もうゲストの舞台というのは、少々違和感(不満)も残りました。しかし、さすがに少女がいると衣装のカラフルさもあいまって、舞台が華やかになります。振付けも合唱も素晴らしいものでした。

特筆すべきは、2曲目の「ヴォカリーズ」。いきなり前へ出てきたのは背も高い青年(高校生くらい)で、高い声で独唱。カウンター・テナーというのですが、少し前の映画「カストラート」を思い出しました。裏声のような発声技法なのか、ご本人の持つ天性のものなのか判りませんが、その声量に圧倒されました。

いずれも素晴らしい合唱なのですが、本来聴きたかったボーイソプラノからは、どんどん離れてしまうようで、複雑な気持ちです。

V.宗教曲

第3部は、上級生およびOBにより、「ANGELUS AD VIRGINEM」、「PERSONET HODIE」、「TOMORROW SHALL BE DANCING DAY」、「The Load bless you and keep you」の4曲が演奏されました。

4曲ともイギリスのジョン・ラター氏のクリスマス曲で、日本の合唱団でもよく歌われる曲だそうですが、私にはあまり馴染みのない曲でした。クリスマスが近いので、いい選曲なのですが、もう少しポピュラーなものも混ぜてくれれば。あくまでの少年合唱団のコンサートですので、聴きにきておられる観客にはお子様も多いのですし。

W.アカペラ アンサンブル

第4部は、上級生によるアカペラ(無伴奏)アンサンブルとして、「The first Nowell」、「Gaudete」の2曲。毎年定番のコーナーです。私としては無理感も感じる裏声だけでなく、若くて初々しい自然なテノールの合唱も聴いてみたいのですけれど。

X.シアターピース

本演奏会のメイン舞台で柴田南雄氏の「北越戯譜」12曲を、舞台演出を含めて上演されました。最初は誰もいない舞台。団員たちが観客席の通路を通って登場してきました。12曲は、正月さまの歌、お手玉、羽根突き、まり突き・・など、昔の玩具をテーマにしたわらべ歌で、それぞれ団員たちが、玩具で遊びながら歌います。

桃太郎2「北越戯譜」(youtubeより)

舞台は、まるで寺山修司氏の前衛演劇のような、おどろおどろしい印象ですが、起承転結に乏しく、何か起こるのかと待っているうちに終了してしまった印象です。

新しい取り組みにチャレンジされた意欲は素晴らしいと思いますが、今回は少し空回りした感じもします。ネットで調べると1975年、ひばり児童合唱団初演との事ですので、そんなに新しいものではないのかもしれません。

ただ非常に感心し、さすがと思ったのは、通路を歩いてきた低学年の団員も、しっかり声を出して歌っていた事です(私のすぐ横を通過)。当たり前といえばそうですが、恥ずかしいと思う年頃なのに、しっかり声を出していたのは、指導者を信頼している証拠だと思います。

桃太郎3ロビーでのお見送り
Y.倉敷少年少女合唱団とともに

最後は、ゲストの倉敷少年少女合唱団やOBも加わって「大地讃頌」を大合唱、そのままお別れの曲となり、本日の定期演奏会は終了しました。


少し辛口っぽいコメントも書きましたが、合唱自体は素晴らしいものであり、団員やゲストの皆様、指導者の皆様の頑張りに心から拍手を送りたい気持ちです。来年は、もう少しボーイソプラノの比重が増してくれればいう事ありません。

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10.第53回定期公演会(15.11.23)

桃太郎1岡山シンフォニーホール入口にて


11月の3連休、21日は広島少年合唱隊の定期演奏会を鑑賞して広島に宿泊、翌22日は普通列車で山陽路をブラブラと旅行して広島県福山市で宿泊、そして23日に岡山へ移動し、桃太郎少年合唱団の定期演奏会です。

同じ日に呉少年合唱団の定期演奏会もあり、迷った末に今年は岡山にしました。ボーイソプラノの館の館長先生もお仕事のため、今回は一人で鑑賞。広い岡山シンフォニーホールですが、空席が目立つのが寂しいところでした。

T.心に残る世界の名歌・愛唱歌

まず、桃太郎少年合唱団「団歌」の後、心に残る世界の名歌として「おおブレネリ」、「森へ行きましょう」、「オブラディ・オブラダ」、「アメイジング・グレイス」、「歌声ひびけば」、「夢路より」、「Edelweiss」の7曲が演奏されました。

誰でも知っている曲ばかりですので、会場に来られているお子様から高齢者まで、退屈することなく鑑賞できて良かったのではと思います。例年通り、変声の終わった中高生団員のファルセットも加わっていますが、今年は小学生団員も少し増加しているのでしょうか、あまり気になりませんでした。

7曲の中で印象に残ったのは「アメイジング・グレイス」と「夢路より」の2曲。前者はイギリス人の作曲した讃美歌ですが、両方ともアメリカの古いフォーク調のメロディがマッチしていました。ただ合唱は静かで平坦な感じでした。(これが少女合唱団なら、華やかな演出でダイナミックな舞台になるでしょうね)

U.玉野少年少女合唱団によるステージ

第2部はゲストの岡山県玉野少年少女合唱団より創作ステージ「地球part4」から、満天の星、希望の光、にわとりの三重唱、ゼブラーマン、地球星歌、優しい心を持って、の6曲が演奏されました。

初めて聴く曲でしたが、やはり少女らしい柔らかな声で、華やかなステージは見応えがあります。歌声も全く力まず自然です。少女合唱でも「パワーでねじ伏せてやろう」とばかりに強い声を出す歌い方(京都市少年合唱団の女子グループなど)に比べると、好感が持てました。

V.女声(児童)のための合唱組曲

いよいよ第3部が本日のメイン。昨年は「北越戯譜」という意欲的なステージでしたが、前衛過ぎてよく理解できないうちに終わってしまったという、上滑り感、不完全燃焼感が残りました。(でも、こういうチャレンジは素晴らしいことです。桃太郎少年合唱団は、これまでチャレンジせず、毎年同じような舞台という印象でしたので。)

桃太郎2スパゲッティ ペスカトーレ(youtubeより)

本年は合唱組曲「キュイジーヌ」から、「スパゲッティ ペスカトーレ」、「インド風チキンカレー」、「パエリア」、「オムレツ」、「大阪風お好み焼き」の5曲が演奏されました。

タイトルをご覧になればお判りのように、世界の料理を題材にした、ちょっとコミカルで楽しい舞台でした。今年は成功だったんじゃないでしょうか。

指揮は、副団長先生がコックさんスタイルで登場。しかし指揮台は舞台中央ではなく、左袖のピアノの前に。ということは、単なる斉唱ではなく舞台を使ってアクションがあるのかもと期待しましたが、その通りでした。

アクションという程ではありませんが、曲にあわせて振り付けがあり、なかなかダイナミックな舞台で、楽しませてくれました。最後が「大阪風お好み焼き」というのが、おかしかったのですが、大阪人としては嬉しかったかも。(これらの舞台の様子は、桃太郎少年合唱団が正式にyoutubeに上げておられますので、是非ご鑑賞してみて下さい)

W.アカペラアンサンブル & Jhon Rutterを歌おう

最後の舞台ですが、恒例の上級生によるアカペラ合唱と、OBを含めた全員による合唱が一緒になっています。まずアカペラ合唱ですが、プログラムには2曲記載されていましたが、1曲目の「野ばら」だけで終了。「Ave Maris Stella」はありませんでした。(記憶違いでしょうか)

そのまま、Jhon Rutter作曲の「The Colours of Christmas」、「Give me wings」、「A Clare Benediction」、「The peace of God」の4曲の演奏が始まりました。

Jhon Rutterは1945年イギリス生まれの作曲家で、数多くの宗教曲、合唱曲を作曲されており、今でもご存命で活躍されているとか。合唱関係者では超有名な方らしいのですが、素養の無い私はあまり知らず、その意味でも新鮮な気持ちで鑑賞することができました。

 おわりに
桃太郎3ロビーでのお見送り

この後、お別れの歌を全員で合唱して本年の定期演奏会も無事終了となりました。またホール出口では団員たちが見送ってくれ、私も満足して岡山の夜の街へ繰り出していくことができました。

来年の定期演奏会からは、この立派な岡山シンフォニーホールではなく、もう少し小さいホールに変更するそうですが、本年のようなステージを地道に続けていけば、少年合唱だって人気が復活するはず。ぜひともこの大きな岡山シンフォニーホールに定期演奏会が戻ってくるよう願って止みません。




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