1.第6回全国少年合唱大会(07.02.11)

呉少年合唱団1 第6回全国少年合唱大会のプログラムから抜粋


岡山で開催された全国少年合唱大会に参加した4団体の1つでした。同じ広島県の広島少年合唱隊と制服の色合いや、感じがよく似ていて、最後に全員が壇上に登った時には、すぐには見分けがつきませんでした。

さて合唱ですが、最初の「ゆかいに歩けば」はポピュラーソングで、よくリズムに乗り、最初の「つかみ」は上々で始まりました。 しかし、いきなり退場してしまい、どうなるかと思っていると、すぐに現れて「音戸の船頭唄」が伴奏なしで始まりました。櫓を漕ぐ音を楽器で奏でながら、地元の唄なのでしょう、非常によく歌い込まれて完成度が高いように感じました。

次に広島らしい「反核の玉」、続いて「夜」「けだものがきた」と宗教系の2曲、最後に「宇宙戦艦ヤマト」で盛り上げるなど、プログラム構成は良かったと思います。 もう1曲プラスであった筈ですが、どうしても思い出せません。(申し訳ありません)

今回の合唱大会で順位を付けるとするならば、広島に次いで2位だったと、自分では思っております。これでどうしても呉少年合唱団の本格的なコンサートが聴きたくなり、この年の定期演奏会に呉まで行ったのでした。(また後日レビューします。)

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2.呉少年合唱団第46回定期演奏会(07.11.23)

第46回呉1第46回定期演奏会のチケット


素晴らしい快晴のさわやかな天気でした。新幹線を広島で降り、安芸ライナーという快速電車で降り立った呉の街は紅葉が美しい街でした。まずは駅前で昼食をとり、呉市立美術館と入船山記念館を観光。ここはかつての海軍呉鎮守府長官屋敷だそうで、高台の雰囲気のいい場所にあります。

初めて来た街・呉で、もっと散策したかったのですが、それは後にして、呉市文化ホールへと急ぎました。入口で当日券1000円を買ったところ、外国人の男性が日本語で声をかけてくれました。「あれ、券を買ったのですか? よかったらこの券を使って欲しかったのですが・・・」

ちょっと戸惑っていますと、どうやらこの方は団員の父親で、招待券が余っておられるようであり、見ず知らずの私にまで、声をかけて下さったようです。(しまった! もうちょっと早く声をかけて頂ければ・・)でも買った券を返す訳にもいかず、男性には丁寧にお礼を言い、券はお断りしました。

そんなエピソードがあり、すこし楽しくなっていると、常連様のボーイソプラノの館・館長様と道楽様とお会いし、今回は館長様の隣で鑑賞することにしました。 そして開演。オープニングは団歌、「音戸の船頭歌」、「藤井清水メドレー」、「反核の玉」の4曲。音戸の船頭歌は、この合唱団の十八番のようで、完成度は高いように思いました。最後の曲も広島県として大事な歌なんだろうな、と非常に満足でした。

第2部は3年生以下の団員達による秋のメドレー、冬のメドレーとして童謡や唱歌。一生懸命歌っている様子が非常に可愛かったですね。第3部は4年生以上の団員で、天使のメドレーと題して外国曲・5曲が演奏されました。さすがに低学年と違って、音程もしっかりしており、難しい曲もソツなく歌っていました。

第5部はまた全員が揃い、ミュージカルの世界と題し、「メモリー」、「ハイホー」、「星に願いを」、「命をあげよう」、「サークルオブライフ」の5曲が演奏されました。これは楽しかったですね。やっぱりよく知っているメロディーが流れると、観衆のノリが違うように思います。(難しい歌に挑戦する事も大事ですが、こんな楽しい歌も手を抜かず大事にして欲しい)

最後の「サークルオブライフ」は知らない曲でしたが、ミュージカル「ライオンキング」のナンバーと聞いて非常に気になり、いつか「ライオンキング」を見に行こうと心に決めたのでした。(2008年11月現在、まだ果たせていません。(涙) )

休憩をはさんで、ゲストステージとして呉市出身の女性ピアニスト・釜山十二華さんのピアノ演奏です。重い病魔と闘っていらっしゃる彼女の演奏は、心に染み入るものがありました。素晴らしかった! 特に映画「男たちのヤマト」のClose your eyes はしんみりとしました。これは多分、今回地元で演奏ということでプログラムに入れて頂いたのでしょうけれど、良かったです。最後は彼女のピアノ伴奏で合唱団全員が「千の風になって」を合唱。(今回のプログラムを演出された方・・やられました。)

第6部は「生きる」と題して、「みんな一つの命だから」、「みち12」、「川の流れのように」の3曲。 最後の美空ひばりさんの歌は、最近児童合唱でもよく歌われるようです。そしてエンディングは、「ハレルヤ」と「さようなら」の2曲。大満足の1日でした。

第46回呉2 終演後ロビーで歌ってくれる合唱団

これで終りと思って席を立つと、館長様が「ロビーへ行きましょう。そこでも1曲歌ってくれますよ」と言われ(さすがに何回も来られている館長様)、ロビーへ行くと合唱団全員が最後の「さようなら」を歌っています。

しかもここでは写真撮影もOKみたいでしたので、デジカメで1枚だけ撮らせていただきました。おまけに、館長様は合唱団の団長先生ともお知り合いで、また紹介までして頂きましたが、頭を下げるくらいしかできず、情けない思いをしました。(いい年して人見知り・・)

会場を出て、館長様と道楽様と3人で広島駅まで歩き、ここでお別れし、私は呉の小さなビジネスホテルで一泊し、ひとり夜の呉で飲み、翌朝はヤマトミュージアムと海上自衛隊の潜水艦を見学して大阪へ帰ったのでした。

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3.呉少年合唱団第47回定期演奏会(08.11.23)

第47回呉1第47回定期演奏会のチケット


昨年同様、素晴らしい快晴の天気でした。呉の街は2回目なので特に迷うことはありません。昼前に到着し、呉名物?の細うどんの昼食を済ませ、呉市立美術館と入船山記念館を観光した後、定期演奏会場の呉市文化ホールへ。

当日券売場でチケットを買おうと並ぶと、全く昨年同様に、団員の父兄と思われるご婦人から声をかけられ、チケットを譲って頂きました。深々と御礼を申し上げて御好意にあずかりました。(昨年はタイミングが悪く、チケットを買ってしまってからでしたが、今年は買う前に声をかけられましたので有難く頂きました。)

そうこうしているうちに、「ボーイソプラノの館」館長の吉岡様とお会いし、お隣の席で鑑賞させて頂くことになりました。

 オープニング・ステージ

最初のステージは「ふるさと」と題して、「団歌」、「音戸の船頭歌」、藤井清水メドレー、「故郷」の5曲。「音戸の船頭歌」は何度聴いても完成度は高いですね、藤井清水氏は地元の作曲家で、氏の作曲による童謡2曲が歌われ、最後はお馴染みのふるさと。オープニングとして掴みは十分でしょう。

 第2ステージ

次のステージは、「わらべ唄・民謡」と題して10曲を一気に演奏。「土投げ唄」、「ほたるこい」、「スカラカポン」、「ひらいたひらいた」、「通りゃんせ」、「かごめかごめ」、「かくれんぼするもの・・」、「あんたがたどこさ」、「夕やけと雁」、「子どもソーラン節」の10曲です。中には知らない歌もありますが、こういうポピュラーソングは退屈することなく、非常に楽しめました。

 第3ステージ

このステージでは、ゲストとしてアコーディオン奏者とオカリナ奏者のお2人(江村氏、風音氏)がデュオとして、軽妙なおしゃべりと演奏をご披露。やっぱりよく知っている曲ばかりで、世界をめぐる7曲の演奏は非常にリラックスできて、これも楽しめました。

 第4ステージ

休憩をはさんで第4ステージは「世界の民謡メドレー」と題して、先ほどのゲストの伴奏で「幸せなら手をたたこう」、「おお牧場はみどり」、「おおブレネリ」、「トロイカ」、「一週間」、再度「幸せなら手をたたこう」の6曲。 「おお牧場はみどり」はTOKYO FM 少年合唱団の団歌みたいなものですから、彼らに比べると少し迫力不足でした。(これは仕方ないか)

 第5ステージ

ここでは「世界の祈り」と題して「Ave Maria」など5曲。ここでやっと宗教曲など難易度?の高いステージです。 いくらポピュラー音楽の方が退屈しないといっても、これまでの構成だけでは、母と子のファミリーコンサート?みたいなもので、少し物足りない気がしておりましたので、このプログラムは聞き応えがありました。

 エンディング・ステージ

エンディングは、全員で「ハレルヤ」と「さようなら」の2曲。十分満足できるコンサートでした。少し残念なのは、終了後にロビーで「アンコール演奏」が無かったことでした。(少し期待していたのですが)
吉岡様と呉駅までご一緒し、私は呉の街で一泊することにしてホテルへ。夜の呉もまたいいものです。

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4.呉少年合唱団第50回定期演奏会(11.11.23)

第50回1第50回定期演奏会の様子(新しい制服の初披露)


3年振りの呉は雨でした。この2年間、北九州少年合唱隊の定期演奏会と重なり、呉へ来れませんでしたが、今年はうまく日程が合いました。(50回記念なので、もし北九州とバッティングしても、今年は呉へ行くつもりでした。)

広島駅で「ボーイソプラノの館」吉岡様とお会いし、そのまま安芸路ライナーに乗って呉に着いたのは10:30。まだ時間がありますので大和ミュージアムを見学。

映画「男たちの大和」ブームもひと段落していますが、見応えのあるミュージアムです。吉岡様と少し早い昼食をとり、呉市文化ホールへ。過去2回来た時は、開演前に列が出来ているようなことはなかったのですが、今年は長い列にびっくり。

第50回2合唱団制服の変遷(プログラムから)

今年、吉岡様は来賓として招待されておられ、私はその同伴者という事で入場させていただき、更に来賓席へ案内されました。さすがに私自身は来賓でないので固辞したのですが、結局は来賓席に。気の小さい私はかなり緊張してしまいました。(呉市の偉い方々や、作曲家の方々が来られたら、どうしようか・・)

今年の定期演奏会のプログラムには、吉岡様の寄稿文も掲載されています。また、当日ご案内等いただきました呉少年合唱団ホームページの管理人G様には、あらためて御礼を申し上げます。このEastend劇場みたいなページもリンク戴いており本当に光栄に思います。

 オープニングステージ

さていよいよ開演。オープニングは団歌、「音戸の船頭歌」「土投げ唄」「アフリカンハレルヤ」の4曲。
あれっ団歌なのに元気がない。呉も広島と同じスロースターターか。でも2曲目、目が覚めました!さすがに船頭歌は迫力満点。次の土投げ唄も。結果として今年の定期演奏会のベストはこの2曲でした。(あくまで私の主観です)

 ステージU

次のステージは低学年団員の「証城寺の狸囃子」「あめふりくまのこ」「子鹿のバンビ」「つらつら椿」「へいタンブリン」「こいぬ」「馬のしっぽ豚のしっぽ」の7曲。結果論ですが、このステージは4曲ぐらいにして、高学年団員のボーイソプラノをもう少し聴きたかったのが本音です。

狸囃子のリズムに乗って1年生団員が一人で歩いて登場した時、会場は拍手喝采でしたが、私は既にお父ちゃんモードに入っており、まるで我が子のように、うまく歌ってくれるだろうか、途中で泣き出しはしないだろうか、とハラハラしどおし。とても合唱を味わうような余裕がありません。これが7曲続きましたので、ちょっと疲れました。

それでも「つらつら椿」で、幼いながらも非常に艶のあるソプラノの団員がいて印象に残りました。お隣の吉岡様も同じ事を言われていましたが、ソロは2人いて、どうも吉岡様が高評価された団員とは違うようでした。

 ステージV

次のステージは、高学年団員の「ほたるこい」「われは海の子」「村祭」「赤とんぼ」「ゆき」「朧月夜」「時の彼方へ」の7曲。最後の曲を除けば全て超ポピュラーな唱歌です。そのままストレートに歌ったのでは、高学年団員にとって物足りないのでしょう。色々と編曲など工夫を凝らしてくれました。

でも申し訳ありませんが、少し演出過多なように思いました。ピアノとシンセサイザーの音も強すぎるような感じです。ストレートな歌唱でよいので、響きわたるボーイソプラノの美しさをじっくりと聴かせてくれた方が、より良かったのでは。特に今年の合唱団はソプラノパートの響きが本当に美しいだけに。そういう意味ではアカペラ中心の「赤とんぼ」がベストでした。

最後の「時の彼方へ」はこれが初演とのことで、今後は呉少年合唱団の十八番になっていくのだろうと思われる爽やかな歌でした。このステージ、ちょっと偉そうな事を書いてしまいましたが、満足度は十分でしたよ。

第50回3プログラムから本年の活動(旧制服)

 ステージW

休憩の後、このステージWでは、ゲストの海上自衛隊呉音楽隊による「コバルトの空」「ふるさと」「青春の輝き」「A列車で行こう」「行進曲軍艦」の演奏と、最後は合唱団も合流して「宇宙戦艦ヤマト」

さすが、帝国海軍軍楽隊の血が流れるのでしょうか、迫力抜群の演奏。でも軍艦マーチとジャズ(A列車)を続けて軍楽隊が演奏するなんて。平和はいいものです。ソロで演奏した隊員達、ものすごくカッコ良かったし。う〜ん、これが本日のメインイベントになってしまった感もあります。

 ステージX

このステージは、OBと後援会、地元合唱サークルの方々による3曲。宇宙戦艦ヤマトのコスプレなど、皆さん楽しんで歌っておられて非常に雰囲気がなごやかでした。

 エンディング・ステージ

いよいよ最後のステージは、団員やOBなど全員で「ハレルヤ」と「さようなら」の2曲。楽しかった演奏会もあっという間に終了。「さようなら」では涙ぐまれているご婦人も多数。本当にいい演奏会でした。


今回は50周年記念演奏会との事で、司会は地元テレビ局のアナウンサー。さすがはプロ。間の取り方から盛り上げ方まで素晴らしい。また、これまでの「合唱団の歩み」を映像で紹介するなど、見どころも一杯。そういう準備もあってか、観客はほぼ満席とのことで、この演奏会は大成功ではないでしょうか。

ただ、これだけ大勢の方、普段、少年合唱なんか絶対に聴かない方、そんな方にボーイソプラノの魅力を十分にアピールするチャンスだったと思うのですが、どうでしょう。最後に3人の高学年団員の挨拶があり、そこで初めて団員の気持ちが伝わりました。今回は大人の姿の方が目立った感じもしますが、これから51年、52年とずっと合唱団が活発化されていくことを心から願っています。

呉少年合唱団はホームページが大変充実しています。地元テレビ局のニュースなどもリンクされていますので、どうぞホームページもご覧下さい。→呉少年合唱団

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5.呉少年合唱団第52回定期演奏会(13.11.23)

第52回呉1定期演奏会チラシから(写真は昨年度のもの)


毎年11月23日に行われる定期演奏会。昨年は日程が重なって行けませんでしたが、呉も4回目になります。
素晴らしい快晴の中、10:30過ぎには呉に到着。呉市立美術館、入船山記念館を鑑賞し、細うどんの店(呉にくると必ず寄る店です)で昼食をすませました。

12:40に、呉市文化ホールで「ボーイソプラノの館」の吉岡様と待合せ。吉岡様は、懇意にされている合唱団OBの方に誘われて楽屋フロアへ行き、呉少年合唱団の団長先生とご挨拶されています。私も恐縮しながら同伴し、お辞儀をしました。更に来賓として広島少年合唱隊の代表の方がおられ、また恐縮しながら挨拶させていただきました。

名刺も交換したのですが、私は職場の名刺しか持っておらず、少しご不審に思われたかもしれません。吉岡様のように、個人としての名刺も作っておくべきでした。でも、いきなり合唱団幹部の方とご挨拶する展開は予想しておりませんでしたので、少し胸がドキドキしました。(小心者ですね)

■T.オープニング・ステージ

会場中央の来賓席に座らせていただき、いよいよ開演です。客席は、一昨年の50回記念演奏会と変らないほどの大盛況で安心しました。(今回のゲストであるバレエを目当ての方が多かったようですが。)

司会はプロのアナウンサーの女性で、しっかり盛り上げてくれます。「呉少年合唱団歌」、「Believe」、「怪獣のバラード」の3曲でスタート。例年と同じく、団歌は、まだエンジンがかからないのか、やや元気不足の感じです。

「Believe」は、他の合唱団では2部合唱で歌われることが多いように思いますが、今回はパートに分かれず斉唱。声は非常にきれいでしたが、やや物足りない気分。「怪獣のバラード」は、呉少年合唱団の十八番(おはこ)の曲だけに、完成度は高いと思います。この曲の後半になってやっとエンジンがかかってきたようでした。

■U.低学年のステージ

小学3年生以下の団員による「少年少女合唱隊」、「気球にのってどこまでも」、「トレロ・カモミロ」、「となりのトトロメドレー」の4曲。まだ低学年の団員ですので、少しハラハラしましたが、何とか歌いきりました。

この中で印象に残ったのが「トレロ・カモミロ」。久し振りに聴きました。いや懐かしい、子供の頃、「NHKみんなの歌」で聴いて以来です。カスタネットの伴奏も素晴らしかったです。

低学年だけで4曲はやや多いように思います。特に「気球にのってどこまでも」は、できれば高学年の団員も入って、パワフルな合唱が聴きたかったのが本音です。でも低学年の皆さん、よく頑張りました。

■V.高学年のステージ

続いて高学年、中学生により、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、「主よ、人の望みの喜びよ」、「ラルゴ〜、オンブラ・マイ・フ」、「乾杯の歌(椿姫より)」、「故郷」の5曲が演奏されました。

最初の2曲は、それぞれモーツァルト、バッハ作曲による宗教曲。声量は大きくないのですが、合唱は素晴らしいハーモニーを聞かせてくれました。宗教曲という性格でもあるのかもしれませんが、一人一人の声の個性を消し、全体として一つのトーンになるように、厳しく練習したようです。

「オンブラ・マイ・フ」を初めて聴いたのは、イギリスの少年歌手アレッド・ジョーンズ君のCD。その後も、女性歌手、少年歌手含めて全て独唱でしか聞いたことがありませんでした。今回の合唱は、前2曲に続く宗教曲のトーンで歌われましたので、ハーモニーは美しいのですが、突き抜けるようなソプラノ・ボイスがなく、パンチが足りない気分もありました。

それが、オペラ椿姫の「乾杯の歌」では、宗教曲のタガが外れたのか、ハーモニーを守りながらも、突き抜けるようなソプラノ・ボイスも聞こえてきて、この演奏会で初めて鳥肌が立つような印象を受けました。やれば、こんなに力強い合唱もできるんじゃないか!

最後の「故郷」は唱歌ですが、ボレロ風の編曲という、初めて聴くスタイルでしたが、これも素晴らしかった。力強い合唱でした。また「トレロ・カモミロ」でカスタネット伴奏をされていた方が、この曲ではパーカッション伴奏。これがまた良かった。

■W.ゲスト・ステージ

休憩の後、ゲストとして、石原バレエアカデミーにより、バレエ「ドン・キホーテ」から、「夢の場」と「グラン・バ・ド・ドゥ」の2場が演じられました。いやいや、もう華やかで、美しく、夢の世界のようでした。

バレエは「白鳥の湖」と「ジゼル」の公演(共にロシアの団体)を見たことがありますが、よく判りません。今回はゲストという事で、短い時間でしたが、ロシア人の公演に劣ることは決して無いように思いました(脚の長さ等、スタイルを除き)

一つ贅沢を言えば、アカデミーに男の子も一人くらいいて欲しかった。日本人少年のバレエダンサーも世界のコンクールで上位入賞するくらいですので、レベルは高いと聞いています。

これで終りかと思うと、今度はオペラ「イーゴリ公」の「ダッタン人の踊り」を、呉少年合唱団の合唱とバレエの合同公演。合唱も素晴らしいし、バレエも素晴らしい。いや良かった。これしか言えません。

■X.特別編成 呉少年合唱団

華やかなバレエが終了。幕が下りている間に、呉少年合唱団の歴史や今年のトピックスが、プロジェクターで上映。一昨年と同じ映像もありましたが、大変興味深く見ることができました。
(ここで、バレエだけを見に来た方々が、かなり席を立ちました。ちょっと残念です。)

さて特別編成の呉少年合唱団とは、いわゆる助っ人の少年達を加えた合唱団とのことでした。今年来日したウィーン少年合唱団は、呉でも公演を行うことになり、呉少年合唱団ともジョイント公演をすることに。

しかし現状の団員数では対応が困難と白旗?を揚げ、近隣の小学校から5、6年生の助っ人を集めて猛訓練を行い、無事にジョイント公演を完了し、特別編成は解散。(そのまま正式に団員になって貰ったら良かったのにねえ。)

しかしこの定期演奏会で、特別編成だった少年達の一部が加わり、また特別編成として、「音戸の船頭歌」、「ゆかいに歩けば」、「川よ 虹と星と」、「時の彼方へ」の4曲が演奏。

第52回呉2 音戸の船頭歌(youtubeより)

「音戸の船頭歌」には度肝を抜かれました。
呉少年合唱団の団歌と言ってもいいくらいの曲ですが、今年のパンチ力は生半可ではありません。中学生以上の団員もファルセットで歌っているとのことですが、それを感じさせることなくピュアーなボーイソプラノに聞こえました。

続く3曲も、前半の合唱スタイルとは違って、どんどん声を出して、迫力のある合唱を聞かせてくれました。いつも直立不動で立っているイメージの呉少年合唱団ですが、高学年のソプラノパートの中には、身体を動かしながら、精一杯の声を出している団員もいます。

まるで、今まで抑圧されてきた「内なる力」を解放するがごとく、自分を前に出している感じです。それがすごく印象に残りました。こんな団員が何人かいてもいいじゃないですか。(ひょっとすると特別編成の助っ人団員なのかもしれませんが)

■Y.エンディング・ステージ

特別編成の呉少年合唱団の合唱をもう2、3曲くらい聴きたかったのですが、とうとうフィナーレになりました。合唱団の他に、OB、指導者、バレエアカデミーのダンサー全員までが壇上に整列して「ハレルヤ」、「さようなら」の2曲。人数が多いだけに、それは迫力のある合唱でした。団長先生の挨拶や花束贈呈等があり終了。

第52回呉3 終演後、ロビーにて

3時間近い舞台。一昨年の50回記念演奏会よりも充実感が残りました。ぜひとも特別編成呉少年合唱団を、これからも復活させて、素晴らしいソプラノを聞かせて欲しいものです。

余韻に浸りながら、吉岡様、道楽様と呉駅までご一緒し、私は駅前にある小さなビジネスホテルにチェックイン。夜は呉の繁華街「れんが通り」近くで過ごしました。いい町です。本当に。
来年も必ず来ると心に決めました。


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6.呉少年合唱団第53回定期演奏会(14.11.23)

第53回呉1定期演奏会チラシから


秋の定期演奏会シーズンも終盤にさしかかる中、今年もまた呉へやってきました。日本の少年合唱団のコンサートに行きだした頃、正直言って、呉少年合唱団の印象は薄いものでした。

合唱のレベルは高いのですが、どうもおとなし過ぎて、パンチ力というか、何か一つもの足りないのです。それが一昨年あたりから、団の方針が変わったのか、パンチ力が出てきたのです。(あくまで私の主観的な印象です・・)

呉駅に到着したのはお昼前。美術館などの観光はできず、軽く食事をして会場の呉市文化ホールへ。チケットは1000円ですが、私のサイトの客員であるノースエンド先生の知人の方から、招待券を頂きました。まだお目にかかった事もないのですが、この場で御礼を申し上げます。

■T.オープニング・ステージ

いよいよ開演。オープニングは毎年恒例の「呉少年合唱団歌」、「音戸の船頭歌」、「ゆかいに歩けば」の3曲。いつも団歌の合唱は、今一つパワー不足を感じるのですが、今年はかなり気合いが入っているように思います。

そして音戸の船頭歌、これはもう言う事ありません!素晴らしい出来です。こちらが本当の団歌といってもいい感じです。次の「ゆかいに歩けば」もそのパワーを持続し、声量豊かな合唱でした。

ここで、この定期演奏会の司会をされた女性について。本当は、団員たちが順番にMCとして登場して欲しいと思っていたのですが、今回の司会の女性は、本当に素晴らしい進行ぶりで、定期演奏会成功の立役者の一人といって過言ではありません。

テレビ局の若い女子アナのような、中身の無い空虚な話し方ではなく、しっとりと落ち着き、でしゃばる事なく控えめで、それでいて団員達への愛情を感じる、まるでお母さんのような方でした。(と思っていたら、本当に団員のお母さんだったのですね。彼女の息子さんの頃は、入団オーディションの倍率はなんと4倍! 団員も200名以上いたとか)

■U.低学年ステージ

次は低学年団員による「うみ」、「海のマーチ」、「ここは瀬戸内」、「呉の歌」、「ありがとう」の5曲。(保護者ではない一般の)観客の立場でいえば、彼らのレベルで5曲は多過ぎるというのが正直な感想です。

しかし、幼いうちにこのような舞台を経験することは、今後の成長にとって有意義であり、低学年団員増加のモチベーションにはなると思います。しかも、10数名そこそこにも関わらず、単なる斉唱ではなく、2部合唱を入れるなど、かなり意欲的なものでした。

<ちょっとコラム>2部合唱等の功罪について
ここで、最近のコンサートで感じたことを少し(低学年のステージとは関係ありません)。子供とはいえ、合唱団として活動しているのですから、単なる斉唱ではなく、高いレベルの合唱に挑戦するのは、当然といえば当然のこと。しかし、単純に音楽として、2部合唱>斉唱 でしょうか。テクニックを披露するだけに終わらず、聞いている人に感動を与えることにも配慮して欲しい気がします。(これは指導者の方へ)

2部合唱等で感じるのは、主旋律(パートを歌う人)が弱ければ、気の抜けたビールみたいに、がっかりする内容になってしまうこと。特によく知っているポピュラー系の歌では。

低音パートなど、地味な旋律は難しいせいか、歌の上手い団員が担当するケースが多いように思います。合唱団の人数が多ければいいのですが、人数が少ないと、歌の一番盛り上がるところで、主旋律のメロディよりも、地味なパートの方が強くなってしまようなことに・・

これは、人数の少ない少年合唱団だけの話ではありません。youtubeには、ポピュラーソングを合唱曲に編曲し、実力ある大人の合唱団で、2部3部合唱したものが数多くアップされています。そのどれを聞いても、オリジナルの歌のようなパンチ力はありません。ゆず、スピッツ、コブクロなども聞きましたが。

■V.高学年ステージ

余計なウンチクはこれくらいにして、定期演奏会のレビューに戻ります。次は高学年ステージとして、「SIYAHAMBA」、「Dona Nobis Pacem」、「生きてる 生きてく」、「いのちの歌」、「みち12」、「サークルオブライフ」の6曲。これが本日のメインステージです。

南アフリカ民謡のSIYAHAMBA、これは先日の広島少年合唱隊と同じ選曲。ダイナミックな振り付けが特徴の広島に対し、呉はどういう演出で対抗するのか気になりました。広島よりはおとなし目ですが、しっかり歌を聴かせる合唱で、これはこれで素晴らしい合唱でした。

Dona Nobis Pacemはソロ(ソリ)が見事。その後も、安定したソプラノパートの団員たちが、素晴らしいハーモニーを聴かせてくれました。今年は小学5年、6年生が多く(といっても、あくまで少年合唱団の中ではの話)、個々の声を張り上げるのではなく、しっかりハーモニーを作っています。やはり、分厚い中間層ならぬ、分厚い小5,6層を確保することが、少年合唱団のカギです。

前半最後のサークルオブライフは、ミュージカル「ライオンキング」のナンバー。短いのですが、少しミュージカル舞台風の演出で、これはもっと見ていたい! 来年は、ライオンキングのメドレーを舞台風にやってくれませんでしょうか・・

■W.ゲストステージ

休憩の後、今年のゲストは広島ジュピター少年少女合唱団で、「変わらないもの」、「蝶の谷」、「ここに消えない音がある より4曲」、そして全員で「地球という楽園」の4曲。

第53回呉2 地球という「楽園」(2013年,youtubeより)

ジュピター少年少女合唱団は10数名の小所帯で、珍しく男子中学生?が3名。しかし合唱のメインは、少し年上の中高生の女子団員で、彼女らの声量には驚きました。どれも素晴らしい合唱でした。

最後の、地球という「楽園」は、呉少年合唱団も加わって、作曲者の方(呉少年合唱団OB)の指揮での大合唱。少女達の声も素晴らしかったのですが、やはりボーイソプラノが加わると、合唱の深みが違うことを改めて認識しました。

■X.OBとともに

ここでOBの方々が加わって、「クリスマスイブ」と「時の彼方へ」の2曲。昔、クリスマスといえば定番だった山下達郎さんの名曲を合唱で聴けるとは・・。2曲目は、ジュピター少年少女合唱団が一旦退場し、OBと少年合唱団の男声だけの合唱。これも本当にいい曲でした。

■Y.エンディングステージ

エンディングは、毎年同じ2曲、「ハレルヤ」と「さようなら」。ジュピター少年少女合唱団も再登場し、保護者や指導者の全員揃っての大合唱。1番高いソプラノパートは (女声を入れず)呉少年合唱団だけという演出は嬉しかったです。 (たぶんそうだと思ったのですが、もし間違っていましたら、参加された女声の方に深くお詫びいたします)

第53回呉3 会場ロビーで最後の1曲。大混雑

最後は、団員3名による挨拶の朗読の中で、「さようなら」が合唱され、本当に素晴らしいフィナーレでした。

一時は中止されていた、終演後のロビーでの1曲も復活されていたのですが、ロビーが大混雑で近づくことができず、頭の上から1枚写真を撮らせて頂くのが精一杯でした。

昨年の、ウィーン少年合唱団との共演を機に、呉少年合唱団の様子が大きく変わったように思います。その時、団員が少ないので、地元の小学校から助っ人入れた特別編成呉少年合唱団が出来たそうですが、助っ人に負けないように団員たちに自覚が出来たのではないのでしょうか。

今年も、非常に大きなアクションで楽しそうに歌う高学年の団員は健在でした。来年もまた、アクティブにダイナミックに成長して欲しいものです。


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